『一夜二人転 雨宮さざめ/緒環伸の場合』 GM:粘土

メイン 見学

PC1惨殺装置:雨宮あまみやさざめ PL:ハシブトガラス
PC2パペッティアー:緒環 伸おだまき しんPL:さささ

  • プリプレイ
  • オープニング
  • ミドル:ラウンド1
  • ミドル:ラウンド2
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  • エンディング

  • GM:『一夜二人転 雨宮さざめ/緒環伸の場合』
    GM:本日お2人に襲い掛かる異常事態は『年齢変化』
    GM:変事の原因は『ジャーム』を選択します。
    GM:よって今回は『ジャームにより年齢変化という事態に陥る。解決するため、ジャームを退治する』となります。
    GM:それではPC紹介。雨宮さんからどうぞ。

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    雨宮 さざめhttps://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYrvLIoAIM
    雨宮 さざめ:「殴り合いでは勝てませぬので。あらゆる方法で不意を突かせていただきます」
    雨宮 さざめ:星辰館高等部二年、雨宮 さざめ。N市内にある武門の家の出です。
    雨宮 さざめ:流派は無仁流。何をしてもいいから相手を殺せば勝ち! な、月謝取ったりできないタイプ。
    雨宮 さざめ:特技は手品。口の中には常に針を一本は隠してあります。
    雨宮 さざめ:日常では健全な学生らしく、放課後に買い食いしたり遊びに行ったりみたいな生活を夢みている女子高生です。横文字と機械は苦手。
    雨宮 さざめ:今回は年を取るということで、+10歳くらいしていこうかなと思っています。よろしくお願い致します。
    GM:存分に加齢していってくださいね。
    GM:それでは続いて緒環さん、お願いします!

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    緒環 伸https://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY7ePzvQIM
    緒環 伸:緒環 伸(おだまき・しん)。第九支部所属のエージェントです。
    緒環 伸:古代種であり不老なので、いい年齢(42歳)のわりに見た目は小綺麗な雰囲気のスーツ青年。エージェント歴はそんなでもない。
    緒環 伸:中身はわりと適当な性格のおっさんです。今回は実年齢相応になるといいかなと思っています。
    GM:42ごろ……
    緒環 伸:老けかけだぜ
    緒環 伸:能力は運命を糸の形で知覚し、僅かに操ることができるというもの。
    緒環 伸:達成値上げたり妖精したり財産点たくさんあったり、万が一の時はナーブジャックができるかも!
    緒環 伸:さざめちゃんとは以前の家族絡みの事件でご縁がありましたので今日も楽しみです。
    緒環 伸:以上、よろしくお願いします!
    GM:あのセッション、シナリオタイトルがほんに悪趣味でよいですね
    雨宮 さざめ:うふふふふ
    緒環 伸:ほんにほんに
    GM:つまりご縁がこれで
    GM『非推奨性リセットマラソン』
    GM:その後雨宮さんがむちゃくちゃになったのがこれってワケ
    GM『幾千万夜の恋の涯』
    GM:これらを読むとこのログがより面白くなるわよ
    GM:それではセッション始めていきましょう!

    GM:登場侵食をどうぞ。
    雨宮 さざめ:1d10+40
    DoubleCross : (1D10+40) → 7[7]+40 → 47

    緒環 伸:40+1d10
    DoubleCross : (40+1D10) → 40+3[3] → 43


    GM: N市 第9地区

    GM:ここ、第9地区内の一区画において
    GM:原因不明の体調不良者が続出しているとの報せが入った。
    GM:どうやらその原因にレネゲイドが絡んでいる可能性が高いと見られ、君たち2人のエージェントが調査を命じられたのだった。
    雨宮 さざめ:「やはり、第九支部は変わらず人員不足でございますか?」
    緒環 伸:「なかなかねー。僕も逃げようとしたらこうやって捕まった」
    雨宮 さざめ:「ふふ、いつも通りの物言いでいらっしゃる」
    緒環 伸:スーツ姿の、にやけた雰囲気の顔をした青年。
    雨宮 さざめ:「有用な力をお持ちでありながら、使おうとしないの。悪い癖ですよ?」
    緒環 伸:「使わずに済むならその方がいいんだけど……まあ」
    雨宮 さざめ:青年より10cmばかり背丈の低い和装の少女。その目は笑うように細められている。
    緒環 伸:「捕まってからはちゃんと大人しく来たんだから、許してくださいよ」
    緒環 伸:言いながらも周囲を見回す。
    雨宮 さざめ:真似をするように周囲を見渡し、
    雨宮 さざめ:「体調不良者……と言いましても、この季節でございますから」
    雨宮 さざめ:「それこそ見渡す限り幾人も、鼻を啜りながら歩いていらっしゃいますね」
    緒環 伸:「そうね。僕はアレルギーがなくて助かったよ」
    緒環 伸:「この先延々くしゃみと付き合うのはごめんだし……っと」
    緒環 伸:「それはまあいいや。別に花粉症は関係ないわけだよな?」
    雨宮 さざめ:「おそらくは。伝聞によると、花粉症を引き起こす、れねげ──」
    雨宮 さざめ:「えーと」
    雨宮 さざめ:「……れねげいどびーいんぐ、なる者はいるそうではございますが」
    緒環 伸:「哀しすぎる存在だな……」
    雨宮 さざめ:「ふふ。私と本質は然程変わりません」
    雨宮 さざめ:「毒を生むか、花粉を生むか。多少の生成結果が異なるばかりでしょうとも」
    緒環 伸:「上手く包み隠して、ここぞというところで発揮してくれりゃ、別になんでも構わないんだけどね」
    雨宮 さざめ:「ええ、発揮してくれるなら」
    緒環 伸:「雨宮さんはその辺がお上手だと思ってるよ」
    雨宮 さざめ:「あら、ありがとうございます。その点緒環さんは、包み隠す方が得意でいらっしゃる」
    緒環 伸:「別に隠すような中身なんぞ何にもありませんよ、僕は」肩を竦める。
    緒環 伸:「手品だったらみんながっかりするくらいだ」
    雨宮 さざめ:「手品の基本は、人の目を惹きつけることにございます」
    雨宮 さざめ:す、と左手を掲げる
    緒環 伸:その手に目をやる。
    雨宮 さざめ:掌をそちらへ向ける。何も持たない、少女のものとしては傷の多い無骨な手。
    雨宮 さざめ:右手をその傍へ持ってきて、
    雨宮 さざめ:ぱん、と打ち合わせる。
    雨宮 さざめ:再び手を開く──その手にはやはり、何も収まってはいないのだが、
    雨宮 さざめ:「これ、この通り」
    雨宮 さざめ:手首を返し、手の甲を向ける。
    雨宮 さざめ:人差し指と中指で挟んだ縫い針が、手の甲側に保持されている。
    緒環 伸:打ち合わせた音に一瞬反応し、
    緒環 伸:「お、おおー」
    緒環 伸:「すごいな、すっかり気を取られてた」
    雨宮 さざめ:「〝おーばーど〟なる者は皆、この針を持っている」
    雨宮 さざめ:口をあんぐりと開け、縫い針を口内へと放り込み、
    雨宮 さざめ:「中身が空っぽ、などと嘯く人ほど、隠し場所は多いものです」
    緒環 伸:「針ねえ、どうだか……」目を微かに細める。
    緒環 伸:つう、と宙を指でなぞる。
    緒環 伸:「糸ならいくらでも」
    緒環 伸:その視界には、事象を繋ぐ無数の糸が張り巡らされているのが、確かに見える。
    緒環 伸:「でも、やっぱり僕の外側だな。中身はどうなんだろうね?」笑みは崩さない。
    雨宮 さざめ:「貴方のことでしょう、緒環さん」
    雨宮 さざめ:「……まったく。年下をはぐらかそうとする所だけ、年相応なんですから」
    緒環 伸:「"包み隠す方が得意"って言ったのはそっちでしょうに」
    雨宮 さざめ:「ほらもう、いじわる」
    緒環 伸:「ま、いざとなったら縫い物はお願いしますよ」
    緒環 伸:「君の針捌きには信頼を置いてるつもりなんだから」
    GM:──という具合に、あなたたち2人が旧交を温めていると。
    GM:ぶぅん 妙に存在感の強い、羽音がした。
    雨宮 さざめ:「────」体の各所、着物の内側でかちゃりと金属音が鳴る。
    雨宮 さざめ:「蜂にしては、季節外れな」
    GM:尋常のものが立てるにしては、大きすぎて早すぎる。
    GM:当然、警戒に値することだろう。
    緒環 伸:「……普通の虫って大きさでもなさそうだな」
    GM:故に、僅かに意識逸らされてしまうのも仕方ないことである。
    血吸い蟲:ざわり 足元に、柔いもので撫で上げられるよう触感。
    血吸い蟲:得体の知れない、どこか不吉な印象。
    緒環 伸:「まずはあれを追って……」
    緒環 伸:言いかけたところで、妙な感触に気づく。
    雨宮 さざめ:「……………………」笑むような顔のまま、瞼の奥で眼球が下を向く。
    血吸い蟲:赤黒い、蟲だ。
    雨宮 さざめ:「ちぃっ」舌打ちに似た音。口内に隠していた針を二つ吹き出し、手へ移す。
    血吸い蟲:甲虫の如き翅と、長虫の如きざわざわとした脚、併せ持った。
    血吸い蟲:蟲があなたたちの足首に噛み付き、痛みも与えず血を吸っていた。
    緒環 伸:「……まずい」攻撃手段はない。どうにか振り払おうとする。
    雨宮 さざめ:「やっ!」右手を振るう。二つの針が、一つは自分の足下、一つは緒環 伸の足下、蟲の元へ飛ぶ。
    血吸い蟲:振り払われるままにばっと飛び去ろうとして、一つ。
    血吸い蟲:そしてあなたが噛ませたままに一つ、貫いて。
    GM:あなた達は2体の蟲を始末した。
    GM:だが、羽音が止まることはない。蟲というものは多いものである。
    雨宮 さざめ:「……これが人間なら、数が多かろうと手立てはありますが」
    雨宮 さざめ:「……羽虫は良く有りません」
    緒環 伸:「二人でどうこうできるものかな、これ……」しかも自分は直接攻撃ができない。
    GM:そしてこの蟲にはもう1つ、厄介なものがある。
    GM:あなたたちは、体調の不調を感じるだろう。
    GM:──もっとも、若者にとってはそれだけとも限らないが。
    雨宮 さざめ:「一度、退きましょう」
    雨宮 さざめ:「装備を調え、場を変える。市街地では戦うに些か──」
    雨宮 さざめ:と、言葉も終わらぬ間に駆け出そうとして、違和を知る。
    雨宮 さざめ:そも、雨宮 さざめは武術を納める身。徒手格闘において、リーチを誤ることは死に通ずる。
    雨宮 さざめ:己がどういう姿勢で、どういう動きをしている時、目線はどこにあって手足はどこまで届くか、経験則で知り尽くしているものなのである。
    雨宮 さざめ:……3cm、目算が狂っている。
    雨宮 さざめ:近くの建物の、ガラスのショーウィンドウ。
    緒環 伸:「──ああ、そうして……」声を出した瞬間。違和感。
    雨宮 さざめ:鏡代わりになるものを
    雨宮 さざめ:見た。

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    雨宮 さざめ:「……………………」
    雨宮 さざめ:「…………?」
    雨宮 さざめ:「えっ?」
    緒環 伸:体調の不調、そうだろう。なんとなく、身体が重い。
    緒環 伸:視界も、普段に比べてどこかピントが合わない。
    緒環 伸:声音も違って感じるのは、気のせいだろうか?
    緒環 伸:「……雨宮さん?」
    雨宮 さざめ:「……は、い」
    雨宮 さざめ:僅かに声が低くなっている。
    緒環 伸:「……ん?」少し悪くなった目をすがめる。
    雨宮 さざめ:顔立ちも──面影は変わらないが、齢を重ねている。
    雨宮 さざめ:貴方は見たことがあるだろう、どこぞの、妄執に狂いかけた女に良く似ている。
    雨宮 さざめ:「……あの、緒環さん」
    雨宮 さざめ:「おひげ……?」

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    緒環 伸:「は? え、何が……」顔を触る。
    緒環 伸:普段の、年齢にしてはつるりとした感触がない。
    緒環 伸:代わりに、軽く生やした髭と、年相応の皮膚の様。
    緒環 伸:「な、は、え?」慌てて自分もショーウィンドウを見る。
    雨宮 さざめ:「これは、えっ……幻でも、なんでもなく……えっ」
    緒環 伸:42歳という年齢に見合った見た目の男が一人。妙齢の美女と並んで立っている。
    雨宮 さざめ:手を見る。普段より些か骨張っている。
    雨宮 さざめ:髪。短くなっている。首回りが軽い。
    緒環 伸:「…………」
    雨宮 さざめ:「こっ、これは、えっ」
    雨宮 さざめ:「まさか、体調不良というのは──」
    緒環 伸:「わかった、どうも見えにくいと思ったんだ」
    緒環 伸:「これ、老眼だな……?」
    雨宮 さざめ:「……………………」
    雨宮 さざめ:「……老眼鏡、お持ちです?」
    緒環 伸:「持ってるわけないでしょうが……」
    雨宮 さざめ:「ですね……すると、これは」
    雨宮 さざめ:手足を軽く動かし、身体の機能を一つ一つ確かめて、
    雨宮 さざめ:「……厄介なことになりました」
    緒環 伸:「加齢による体力の低下だとか、身体機能のあれこれとか、そういう話か……」
    緒環 伸:「……参ったな」と言いつつ。
    緒環 伸:ガラスを手で軽く撫でる。
    緒環 伸:ほんの少しだけ。弱っただけではない、どこかほっとしたような様子が、そこにはあったかもしれない。

    GM:シーン終了。ロイス取得をどうぞ。
    雨宮 さざめ:固定ロイスに既に緒環さんは投げ込んでいるから
    雨宮 さざめ:蟲 興味/○駆除 で取得
    緒環 伸:さざめさんに○連帯感/不安で取得!

    GM:登場侵食をどうぞ。
    緒環 伸:緒環 伸の侵蝕率を+2(1d10->2)した(侵蝕率:43->45)
    雨宮 さざめ:47+1d10
    DoubleCross : (47+1D10) → 47+5[5] → 52


    GM:ミドルシーンは特殊なFS判定で進行します。
    GM:判定内容はこちら。
    GM
    使用技能:≪情報:UGN≫ ≪情報:噂話≫
    難易度:6
    最大達成値:9点
    目標進行値:4

    GM:特殊ルールは3つ。
    GM:片方が支援判定を行った場合、もう片方の達成値を+3し、そのラウンドの最大達成値を10とします。
    GM:セットアッププロセスに決まるハプニングチャートは独自のものを用います。
    GM:FS判定が未クリアで4Rが終了した場合、強制的にクライマックスに移行します。ペナルティとしてクライマックスシーン開始時に暴走・放心が付与されます。
    GM:ちなみにクライマックスでは任意で、侵蝕率を100%に変更できます。
    GM:その効果を受けた場合、バックトラック時に50%減らせます。
    GM:それではセットアップ。ハプニングチャート!
    GM:1d6
    DoubleCross : (1D6) → 3

    GM:3:状態変化がもう片方に反転、あるいは両者になる。既に両方が陥っているシチュエーションの場合は片方が解決、もう片方が深刻化する
    ラウンド中達成値-2

    GM:片方治っちゃうのもったいなくない?
    緒環 伸:うん……
    雨宮 さざめ:勿体ないっすね
    雨宮 さざめ:どっちかだけ深刻化?
    GM:それか振りなおす
    雨宮 さざめ:じゃあ深刻化を貰おうかしら
    緒環 伸:あ、じゃあ、戻りたがらなかったりしてもいいですか
    緒環 伸:おっと
    GM:ほうほう
    GM:緒環さんのやつ面白そうじゃない?
    雨宮 さざめ:こちらは深刻化、緒環さんは戻りたがらない、みたいな
    緒環 伸:両得
    GM:ではそんな感じで
    GM:判定どうぞ~
    GM:8出してね
    GM:社会性に優れてれば簡単でしょ
    雨宮 さざめ:では、情報:UGNでコネ:UGN幹部。達成-2が怖いが挑戦。
    雨宮 さざめ:7dx+1
    DoubleCross : (7R10+1[10]) → 10[1,4,6,6,8,10,10]+9[4,9]+1 → 20

    緒環 伸:たか
    緒環 伸:〈情報:UGN〉でコネ(ストーン)使用。
    緒環 伸:5dx+1
    DoubleCross : (5R10+1[10]) → 10[2,3,4,4,10]+2[2]+1 → 13

    緒環 伸:いえーい
    GM:おみごと!
    GM:進行値が2/4!

    GM: N市 UGN第9支部

    GM:不可解な加齢現象に見舞われたあなたたち2人は
    GM:この状況の元凶と思しき怪生物ら(ちょうど良いことにピンで刺している)と共に、ひとまず支部へ帰還したのであった。
    小子内渚:「──さて、検査内容を簡潔に説明しますと」
    小子内渚:ことりと、暖かいお茶をあなたちにも淹れて。第9支部医務室の主が語るには。
    小子内渚:「あの蟲……レネゲイドビーイングの従者らしきものたちは、レネゲイドと生命力を吸収します」
    小子内渚:「それによって加齢が生じた、といったところでしょうか」
    雨宮 さざめ:「なんたること……」いつも通り、微笑むように目を細めている。が、口元は引きつっている。
    緒環 伸:「なるほどね……」適当に調達した老眼鏡をかけている。
    小子内渚:「地区内で散見していた体調不良者、というのも同じ被害にあったものかと思います」
    雨宮 さざめ:用意された椅子の後ろに立ったまま、性急に足をぱたぱた床へ打つ。
    緒環 伸:様子は老けているものの、いつもとあまり変わらない調子。
    小子内渚:「基本、過剰に深刻化するものではありませんが……」
    雨宮 さざめ:「……基本、とは聞き捨てなりません。なんですか、何か含むところがあるのですか」
    雨宮 さざめ:普段より棘の強い語調。
    小子内渚:「繊細なコントロールを保つことが重要な方であれば、更に崩れることもありましょう」しかと受け止め、冷静に応じる。
    小子内渚:「特異なレネゲイドや身体改造を施している方ほど、危険な現象である、ということです」
    緒環 伸:「特異、か……」
    雨宮 さざめ:「……聞けば聞く程に腹立たしい、たかだか虫に刺された程度で──」
    雨宮 さざめ:と、更に強まる語調──から、溜息。
    緒環 伸:「どうどう」雨宮さんをなだめるように。
    雨宮 さざめ:「……なんなんですか、本当にもう……」疲れたような顔をして椅子を引き、
    雨宮 さざめ:「よいしょ」と一声。座ってようやく、自分の言動にハッとする。
    雨宮 さざめ:「……………………」
    緒環 伸:「…………」他人事ではないため、聞かなかったことにする。
    緒環 伸:「……これ、実際元に戻るアテはあるの?」
    緒環 伸:「僕はまあ、いいんだよ。実際順当に年食ってたらこんなもんだし」
    緒環 伸:「雨宮さんは、戻せるなら戻してあげたいと思うね」
    雨宮 さざめ:「早急に、戻りたいですね」
    小子内渚:「……」僅かに緒環さんを見つめ
    小子内渚:「お2人が捕縛してきた個体の解析から、効果を抑える薬はできましたが」
    小子内渚:すすす、と湯飲みを2人の方へ押す。
    小子内渚:「根本的な対処には、本体が欲しいところですね」
    緒環 伸:湯飲みの水面に映る自分の顔を、じっと見つめている。
    雨宮 さざめ:「これを飲めば良い、と」早々に湯飲みを手に取る。水面に映る顔は──悍ましいものとして視線を逸らす。
    緒環 伸:「……飲まない、って言ったらどうする?」ぽつりと。
    雨宮 さざめ:「……緒環さん」
    緒環 伸:「これくらいがちょうどいいと、そう、思わなくもないんだ」
    緒環 伸:「このままなら、たとえば」
    緒環 伸:「たとえば、昔の知り合いや……家族に、会いに行ける……」
    緒環 伸:それだけぼんやりと呟いて、はっと顔を上げる。
    雨宮 さざめ:「…………」立ち上がる。
    雨宮 さざめ:がたん、と喧しい音がなる。立ち上がる時、テーブルに足をぶつけたのだ。
    雨宮 さざめ:「……あぁ、もう」自分の挙動にすら苛立ち、呻くような声を上げながら、少しテーブルから離れる。
    雨宮 さざめ:「若いままで居られるというのに、その特権を捨てると?」
    緒環 伸:「痛そうな音したけど、大丈夫?」一瞬見せた弱みを覆い隠すような口調で。
    雨宮 さざめ:「……………………」無言。答えの代わりに、体を動かして見せた。
    緒環 伸:「……特権ね。まあ、そういう見方もある」
    雨宮 さざめ:脚を広く開いて身を沈める。高く跳躍する。手足を虚空へ向けて振るう。……武術の〝型〟。
    緒環 伸:「普段はそりゃ、若い方が動きやすいよ。眼鏡もいらんし……」
    緒環 伸:「大丈夫そうだ。綺麗なもんだね」
    雨宮 さざめ:「関節の柔軟性は元のまま。動きの精度も変わらず。けれど……」
    雨宮 さざめ:「……瞬発力は落ちています。思うような速度が出ない。筋力もそうです、思う位置まで届かない」
    雨宮 さざめ:「〝たかだか十数年で私はこう成り果てる〟」
    雨宮 さざめ:「血を吐くような思いどころか、本当に血を吐きながら磨いたものが、ただ生きていくだけで奪われるのですよ」
    緒環 伸:「そうだよ」
    緒環 伸:「自然に奪われるはずだったんだ。僕の人生は」
    雨宮 さざめ:「……奪われずに済むようになった」
    緒環 伸:「僕が望んで貰った贈り物ってわけじゃないんでね」
    緒環 伸:「まあ、それでも好きなところはあるし」
    緒環 伸:「……大丈夫。本気でこのままがいいと心から思ってるわけじゃない」
    雨宮 さざめ:「…………」
    緒環 伸:「ただ」
    緒環 伸:「少し、あったかもしれない未来を覗き見て、感傷的になっちゃってね」
    緒環 伸:ふう、と息を吐く。
    雨宮 さざめ:「…………」肩を怒らせ、不機嫌に目を細めていた。強ばった表情──
    雨宮 さざめ:──が、ふうっと力が抜ける。
    雨宮 さざめ:「……ごめんなさい……当たり散らしてしまって」
    緒環 伸:「当たる元気があればまだまだ現役だね」
    雨宮 さざめ:「…………」まだぎこちないながら、普段のような顔を取り繕って首を振り、
    雨宮 さざめ:「体長が悪い時の母にそっくりでした、今の私」
    緒環 伸:「ああ、お母さんね。元気?」
    緒環 伸:「…………」
    緒環 伸:「僕はもう五年以上会ってないんだよな、自分のお袋」
    雨宮 さざめ:「ええ。あの時よりは幾分も。それでもやはり……歳なのでしょうね。急に、火がついたように不機嫌になったりします」
    雨宮 さざめ:「ひすてりー……と、言うのでしたか」
    緒環 伸:長寿を捨てるつもりは毛頭ないが、不老をほんの少し縮めることができれば、とは考えていた。
    緒環 伸:たとえ、一時の満足で終わるとしても。
    緒環 伸:「歳か。うちも、ボケ始めてるって聞いたな……」
    雨宮 さざめ:「……それは、さぞ、ご心配でしょうね」
    緒環 伸:「まあね。いっそ、こっちが誰かわからないくらいになってからなら会いやすいのかな……」
    緒環 伸:湯呑みに手を伸ばす。
    緒環 伸:気が変わらないうちに、ぐい、と飲み干した。
    雨宮 さざめ:「今、会いに行ったとて、良いではありませんか」
    緒環 伸:「わりと苦いね、これ……」
    雨宮 さざめ:再び椅子を引き、腰を下ろし、湯飲みを手に取る。
    緒環 伸:「どうかな……そうなのかな」
    雨宮 さざめ:「ええ」
    緒環 伸:「……今ならマスクして行けば花粉症で済ませられる、か」
    緒環 伸:くつくつと笑う。
    雨宮 さざめ:「……あの時。あの蔦の化物の一件で」
    雨宮 さざめ:「私は母を失うのか、と思いました」
    雨宮 さざめ:「いつかそういう日は来る。けれど、それは自分が60にも70にもなって」
    雨宮 さざめ:「母が90歳だとか、何も分からぬまでに老いて、十分に生ききって死ぬものだと」
    緒環 伸:「…………」
    雨宮 さざめ:「……たぶん、きっと、そうではないのです」
    雨宮 さざめ:「ぷっつり、糸を切るように親というものはいなくなって」
    雨宮 さざめ:「繋がれていた私達は、何もない所に放り出される」
    雨宮 さざめ:「……老いの入り口だけを今知りました。苦しいものですね」
    雨宮 さざめ:「思うように体が動かなくて、頭も回らなくて。何をしているでもないのに、誰へとも分からない苛立ちが募る」
    緒環 伸:「まあ、いくら年を食おうがなんだろうが……年下の子に諭されることはあるわけだ」
    緒環 伸:「よく伝わりましたよ、と。考えとく」
    緒環 伸:「これが解決をしなきゃならない話だってのは確かだしね」
    雨宮 さざめ:「はい。……このまま膝が動かなくなっては、蟲を追うにも難儀しますもの」
    雨宮 さざめ:くっ、と湯飲みの中身を飲み干して、
    雨宮 さざめ:「……おいしくない……」舌を突き出し不平を溢す。
    小子内渚:「帰ってきたら、好みのものを」湯飲みを受け取り、ほのかに笑う。
    小子内渚:「若い舌で味わうのを、せいぜい楽しみにしてくださいね」

    GM:それではハプニングチャート
    GM:1d1
    DoubleCross : (1D1) → 1

    GM:1:支部員など共通の知り合いに出くわす。GM・見学席等に知り合いのPCがいれば出演してもらうとよい
    ラウンド中の使用技能を≪意志≫に変更する。

    GM:というわけでどなたかに来てもらいましょうねえ
    GM:判定技能は意志に代わりますが、財産点の使用は可!
    緒環 伸:わおわおー
    GM:レッツゴー!
    雨宮 さざめ:意志! ピンチ!
    雨宮 さざめ:とりあえず判定!
    雨宮 さざめ:2dx
    DoubleCross : (2R10[10]) → 6[2,6] → 6

    雨宮 さざめ:難易度6だから……ギリセーフ……?
    緒環 伸:では意志で
    緒環 伸:2dx+1 思い出の一品使用
    DoubleCross : (2R10+1[10]) → 9[3,9]+1 → 10

    緒環 伸:よっし
    GM:ふたりともばっちり!
    GM:それでは開始だぜ~

    GM:──というわけで、『本体』を割り出す作業を非戦闘要員でこなすことになり
    GM:実戦担当であるあなたたちは消耗を抑えるため、少しばかり支部で待機している。
    GM:そこに1人、小さな訪問者が現れた。
    雨宮 さざめ:「あら?」と、部屋の扉の方を向く
    緒環 伸:「ん」椅子にだらっと腰掛けている。
    春日 雪:「こんにちわ。少し、お時間をよろしいですか?」
    春日 雪:銀色のトレイの上に、それに不似合いな急須、湯飲み、そして菓子類……和菓子、特に生菓子の類……が入った皿。
    雨宮 さざめ:「はい。……ええと、こちらの副支部長さんでしたか──」と目を細めて顔を眺めてから、
    緒環 伸:「うわ」声を聞いた瞬間、ずれた眼鏡を押し上げ、体勢を整える。
    雨宮 さざめ:「……わぁ……!」その目を輝かせる。甘いものは好物である。
    緒環 伸:「いや、今のうわは嫌なうわじゃなくてね……?」
    春日 雪:「先ほど、小子内さん特製のお薬を処方されたと聞きまして。お帰りになるまで、お口直しができないのも酷でしょうと思って」
    春日 雪:「……こうして、差し入れを持ってきたのですけれど。……ふふ、よいものが見れました」
    春日 雪:緒環さんに、小さくウィンクなどしてから。
    緒環 伸:「よいものとかじゃないんだよなあ……」緩めていたネクタイを直す。
    春日 雪:「……はい、初めまして。第9支部の副支部長の椅子を預かっています。春日雪、と申します」
    春日 雪:トレイをキミたちの前の卓上に、そっと置いてから。
    雨宮 さざめ:「訓練部隊〝重ね胴〟、雨宮 さざめにございます」挨拶に応じて頭を下げつつも、手はもう菓子の方に伸びている
    春日 雪:「はい。お話は、緒環さんから伺っています。わたしのことはどうぞ、雪ちゃんとお呼びください、さざめさん」
    春日 雪:つぅ、と。菓子の皿を、さざめさんの方へと少し滑らせて。
    緒環 伸:「おー、いろいろあること。ありがとうね、雪ちゃん」適当にひとつ取って口にする。
    春日 雪:「……ふふ、どうぞ。お茶もお菓子も、逃げませんから」
    雨宮 さざめ:「雪ちゃんさん、ですか。……ふむ、まだお若い方のようで」
    緒環 伸:「……味覚もなんとなく違ってる感じがするな……」
    春日 雪:程よく熱く、濃く、そして仄かに苦い緑茶を、二つの湯呑に注ぐ。
    雨宮 さざめ:ひょい、と手に取ったまんじゅうに早速ぱくつき
    雨宮 さざめ:「……あまい……おいしい……」
    緒環 伸:ふうふうと緑茶を冷ましながら。
    春日 雪:「ええ。いま、11歳です。……年齢のことを言えば、速水支部長……やどりちゃんも、同い年ですけれど」
    雨宮 さざめ:「11歳……それはそれは。と、すると──」
    緒環 伸:「……子供があの蟲に遭ったらどうなるんだろうな……」素朴な疑問を口にする。
    雨宮 さざめ:湯飲みを手にしたまま、首をくるりと回して
    雨宮 さざめ:「緒環さんのお孫さんくらいのお歳でしょうか?」
    緒環 伸:「孫は行き過ぎじゃない? 31歳差だよ」
    雨宮 さざめ:「うふふ」
    春日 雪:「……5年ほど先であれば、興味はありますけれど。お二人を見ると、残念ながら、望む姿になる……という類のものではないようですから」
    春日 雪:そう、緒環さんの疑問に応じてから。
    緒環 伸:「今だとちょうど親子くらいに見えるかな?」
    春日 雪:「どうでしょう。……42歳にしても、少し、落ち着きすぎに見えますから」
    緒環 伸:望む姿でもあったんだよ、とは言わないでおく。
    緒環 伸:「物は言いようだ」お茶を一口。
    春日 雪:「ちょうど、と言うなら……伯父さまと姪、というあたりでしょうか」
    緒環 伸:「じゃあそれくらいで手を打とうか」くすっと笑う。
    雨宮 さざめ:「ふぅむ」二人の顔を交互に見て、何事かを考えるように首を傾げ、
    雨宮 さざめ:「雪ちゃんさん、雪ちゃんさん」湯飲みを置いて手招き
    春日 雪:「ええ。そうしていただけると──」
    春日 雪:「……はい、なんでしょうさざめさん」
    春日 雪:つつ、とさざめさんのすぐ傍へ。
    雨宮 さざめ:椅子から立ち上がり、こちらも近づくと、
    雨宮 さざめ:「よいしょ」と一声。まるで幼子を抱くように抱えあげようとする。
    春日 雪:「んっ……」
    春日 雪:一瞬、ぴくりと震えるような仕草をするも。
    春日 雪:「……あの、さざめさん……?」
    雨宮 さざめ:「あら、軽い軽い」などと言いながら、摺り足ですすす……と緒環さんの横へ進み
    雨宮 さざめ:「写真屋さんに飾ってある、家族写真のようではありません?」
    春日 雪:拒むことはしない。むしろ、しなだれかかるように、体重を預けて。
    緒環 伸:「誰一人として血縁じゃないけどな」
    春日 雪:「……ふふ。じゃあ、さざめさんがお母様、緒環さんがお父様、ですね」
    雨宮 さざめ:「私が十八で子を生めば、だいたいこれくらいの釣り合い──」
    雨宮 さざめ:「──いえ。緒環さんがおじいさまで、私が母です」
    緒環 伸:「おじいさままで行かれると、さすがに戻りたくなるな……!」
    雨宮 さざめ:「ほうほう、それは吉兆。ならばもっと労ってさしあげませんと」
    雨宮 さざめ:「ほーら雪ちゃん、おじいちゃんですよー」
    雨宮 さざめ:軽く、赤ん坊をあやすように揺さ振りながら。
    緒環 伸:「雨宮さんの中での僕は相当の年配イメージだってことはわかった……」
    緒環 伸:「はいはい。お年玉をあげようね……」
    春日 雪:「おじいさまー」
    雨宮 さざめ:「おとしだまー」
    春日 雪:興が乗ったのか、口調も、わざとらしいまでの幼子めいて。
    緒環 伸:お菓子の袋を一個取って雪ちゃんに。
    春日 雪:受け取った菓子の嚢を、そうっと開いて。
    春日 雪:「……さざめさん?」
    春日 雪:自分を抱くさざめさんを、見上げるように。
    雨宮 さざめ:「はい?」
    雨宮 さざめ:腕に閉じ込めたまま、視線を降ろして応じる。
    緒環 伸:「……まあ、おじいさま、別にいいのかな。雨宮さんの旦那ってよりは」ぽつりと。
    春日 雪:ん、と小さく呻いて。菓子の嚢から、四角いあられをひとつ取り出して。
    緒環 伸:「いや、雨宮さんが嫌とかじゃなくて。多分前なら今の見た目は口説いてたけど……」
    春日 雪:「はい、どうぞ……お母様」
    春日 雪:そう言って、あられの端を咥えて。
    雨宮 さざめ:「あらあら、可愛らしいこと」
    春日 雪:「ん……」
    春日 雪:ゆっくりと、さざめさんの口元へ。
    緒環 伸:雪ちゃんの様子をちらりと見る。いつものやつなのであまり気にしない。
    雨宮 さざめ:「……けれど、ええ。これは応じて良いものかどうか、些か迷います」
    緒環 伸:「ご随意に。こういう子なんで」
    雨宮 さざめ:と、抱きかかえる腕を片方だけに変えたまま、もう片手をあられへ──
    雨宮 さざめ:──と見せかけて少し奥。頬をぷにぅと掴む。
    春日 雪:「んぅっ!?」
    雨宮 さざめ:頬を歪めさせた指をそのまま後ろへ引き、去り際にあられを捕まえて、
    雨宮 さざめ:「嫁入り前の娘の唇を、安く売り渡すものではございません」
    雨宮 さざめ:「めっ」
    雨宮 さざめ:と言いながら、あられを自分の口に放り込む。
    緒環 伸:「お、さすがお母さんだ」
    雨宮 さざめ:「……ふふ。母のものまねというのも、案外に楽しいものですね」
    春日 雪:「はい、ごめんなさい。……こうして、優しく叱ってもらう、というのも」
    春日 雪:「随分、久しぶりです。……ありがとうございます、さざめさん」
    緒環 伸:「入り込みすぎないように、ね」
    緒環 伸:「君、まだ女子高生なんだから」
    雨宮 さざめ:「いえいえ、ついかわいらしくって失礼を──」と、ようやく抱えていた少女を床に降ろしてから、
    雨宮 さざめ:「──そう、遠い話でもございません」
    雨宮 さざめ:「私の体が衰えぬ内に次代を産み育てるとなれば、遅くとも二十までには子が欲しいものでございますれば」
    緒環 伸:「気が早いな……」
    雨宮 さざめ:「そういう緒環さんこそ。ええと、11の31だから……42歳なのでしょう?」
    緒環 伸:「そうですよ」
    雨宮 さざめ:「お母様の元に里帰りなさる時に、本当に、お孫さんの顔を見せてさしあげても良いでしょう」
    緒環 伸:「いやあー」
    緒環 伸:どう言おうか迷って、苦笑した。
    春日 雪:「あら。もし娘役が必要なら、その時はお声がけくださいね?」
    春日 雪:ころころと笑いながら、そう言って。
    緒環 伸:「そうね、考えとく、とだけ」二人に。
    春日 雪:──ふと、赤い瞳が、つぅ……と細まりもしたけれど。
    緒環 伸:子孫を残す、ということが不可能だということ。この話は、そうそう出せるものではない。
    雨宮 さざめ:「子を為して、引き継いで、独り立ちさせて──それでようやく、また自分に戻る」
    緒環 伸:想う相手が、厳密には人ではない、ということも。
    雨宮 さざめ:「……そういう生き方をしているのが、母なのでしょうから」
    雨宮 さざめ:「独り立ちしたのだ、と見せに行くのも良いかと存じますよ」
    緒環 伸:「それなら……多分」
    緒環 伸:「僕はいつまでも、独り立ちはできないままなのかもしれないな」
    雨宮 さざめ:「……?」
    緒環 伸:「お袋もまあ、僕がこういう性分だとはわかってるからね。呑んでもらうしかない。はは」
    春日 雪:「……もしも、の未来の話をするのも、結構ですけど」
    春日 雪:いつの間にか、空になった菓子の皿を。トレイの上に戻しながら。
    春日 雪:「ifの話をするなら、せめて現実の身体と心は、仮定のものではなく」
    春日 雪:「……全てが元に戻ってから、ですよ。もしもの身体で、もしもの話をしていては」
    春日 雪:「鬼が笑うどころじゃありません。……ね?」
    春日 雪:にこりと、少女らしい笑顔で。ふたりの背中を押すように。

    GM:シーン終了。ロイス取得と購入をどうぞ。
    雨宮 さざめ:春日 雪 ○慈愛/幻想
    緒環 伸:雪ちゃんは固定ロイス……なので
    雨宮 さざめ:調達は強化ビジネススーツ目標19!
    緒環 伸:小子内さんに○信頼/苦い で!
    雨宮 さざめ:5dx+3>=19
    DoubleCross : (5R10+3[10]>=19) → 9[1,2,7,8,9]+3 → 12 → 失敗

    雨宮 さざめ:財産7を支払って購入、装備。装甲3で社会達成値+2!
    緒環 伸:じゃあ手配師使用でブルーゲイル
    緒環 伸:7dx+2=>20
    DoubleCross : (7R10+2[10]>=20) → 8[2,2,4,4,5,7,8]+2 → 10 → 失敗

    緒環 伸:財産点10支払ってゲット!

    GM:登場侵食をどうぞ。
    緒環 伸:緒環 伸の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:45->55)
    緒環 伸:わお
    雨宮 さざめ:1d10+52
    DoubleCross : (1D10+52) → 10[10]+52 → 62


    GM: 第9地区 自然公園にて
    GM:普段は多くの人が安らぐ公園は、閑散としている。
    GM:封鎖されたその場所に、此度の元凶は発生していた。
    血吸い蟲の巣:無数の蟲がざわざわと、出入りする巣。
    血吸い蟲の巣:死臭漂う土塊の上から、毒々しく鮮やかな紅色の華と死神めいたヒトガタが生えている。
    GM:他者より奪った血と力を以て、この怪物は更に活性化するだろう。
    GM:あなたたちがここに来なければ。
    雨宮 さざめ:「……よかった。ひとの形をしています」
    緒環 伸:「蟲よりはやりやすそうだね」
    緒環 伸:少し息が切れている。
    雨宮 さざめ:「ええ、的も大きく──〝おじさま〟?」
    雨宮 さざめ:「体がお辛いなら、座って御覧になられても結構ですよ?」
    緒環 伸:「いや、単にこれはきっと運動不足……」
    緒環 伸:「人が立って戦ってるのに、一人で観覧してるわけにはいかないでしょうに」
    緒環 伸:「縫い物だろ」
    緒環 伸:「針と糸が要るんだよ」
    雨宮 さざめ:「糸通しのご用意は?」
    雨宮 さざめ:「老眼では、針の穴を見るのもつらいでしょう」
    緒環 伸:「ラクダを通すよりはマシってやつだね」
    緒環 伸:目を眇める。糸は、普段と変わらずに見えている。
    血吸い蟲:ぶうん ぶうん と羽音が包む。あなた達に向けられる、無数の原始的な害意。
    血吸い蟲:難易度9の衝動判定と共に《ワンナイトフィーバー》
    GM:通常の侵蝕増加の代わりに、侵蝕率を100%に上昇できます。
    GM:この効果を受けた場合、戦闘終了時に侵蝕率が50%低下します。
    雨宮 さざめ:3dx>=9
    DoubleCross : (3R10[10]>=9) → 8[2,7,8] → 8 → 失敗

    緒環 伸:2dx+1>=9 思い出の一品使用
    DoubleCross : (2R10+1[10]>=9) → 8[2,8]+1 → 9 → 成功

    緒環 伸:よっしゃ
    雨宮 さざめ:暴走! 効果は受けて侵蝕を62+38=100!
    緒環 伸:効果は受けます。
    緒環 伸:100まで上昇!
    GM:エンゲージ状態
      血吸い蟲の巣(8)
        5m
     雨宮(9)緒環(8)

    GM:セットアッププロセス。
    血吸い蟲の巣:なし
    緒環 伸:ブルーゲイル使用。侵蝕と行動値を+5して105と13に。
    緒環 伸:緒環 伸の侵蝕率を+5した(侵蝕率:100->105)
    雨宮 さざめ:無し!
    GM:イニシアチブプロセス。緒環さんの手番です。
    緒環 伸:マイナーなし。
    緒環 伸:メジャー、コンボ『ラケシス、糸を計れ』。《導きの華》《光射す場所》《要の陣形》。侵蝕9。
    緒環 伸:対象は自分と雨宮さんの2人。次のメジャーアクションの達成値が+21されます。
    雨宮 さざめ:わーい
    緒環 伸:緒環 伸の侵蝕率を+9した(侵蝕率:105->114)
    緒環 伸:軽く演出。
    緒環 伸:目を細めると、無数の蟲が飛ぶごとに、糸が複雑に揺れ動くのが見える。
    緒環 伸:いつもよりも動きづらい腕を差し上げる。
    緒環 伸:わかっている。これは、本来の自分ではない。ずっと違和感ばかりがある。
    緒環 伸:この姿で誰かに会いに行っても、それは、きっとただのごまかしに過ぎないと。
    緒環 伸:何より、一番会いたい人には──。
    緒環 伸:複雑に絡んだ糸が、するすると解けていく。
    緒環 伸:あとは、きっと雨宮さざめが上手くやるだろう。
    緒環 伸:彼女は、見事な針の使い手なのだから。
    GM:イニシアチブプロセス。雨宮さんの手番です。
    雨宮 さざめ:マイナーアクションで《猛毒の雫》を使用。1でもダメージを与えればランク5の邪毒付与。侵蝕100+2=102
    雨宮 さざめ:メジャー、《コンセントレイト:オルクス》+《ディストーション》+《完全なる世界》。対象は血吸い蟲の巣で、
    雨宮 さざめ:蟲 興味/○駆除のロイスをタイタス昇華し、C値を6に下げます。
    雨宮 さざめ:15dx6+28 命中判定
    DoubleCross : (15R10+28[6]) → 10[1,2,3,4,4,4,5,5,6,7,7,7,7,8,9]+10[1,2,3,3,9,10,10]+10[1,9,9]+10[3,6]+5[5]+28 → 73

    血吸い蟲の巣:ガード、《蒼き悪魔》により雨宮さんに15点ダメージ。
    雨宮 さざめ:その数値なら死なぬ……ダメージ!
    雨宮 さざめ:17+2d10+8d10
    DoubleCross : (17+2D10+8D10) → 17+10[2,8]+29[2,2,1,8,5,2,6,3] → 56

    血吸い蟲:ギリ死亡!
    雨宮 さざめ:しゃあ!
    緒環 伸:うおー
    雨宮 さざめ:──衣服の各所に隠した針を手の中に集める。片手に二十本以上ずつ。
    雨宮 さざめ:両腕を振りかぶり──投擲する先は、空!
    雨宮 さざめ:高々と打ち上がった数十の針は、重力に引かれて落下を始めるが、
    雨宮 さざめ:無論。ただ落ちてくるだけの針に、殺傷力が伴うはずも無い。
    雨宮 さざめ:「──緒環さん。針の穴は、見えましょうか」
    血吸い蟲:無数の蟲が迎撃する。巣の脅威たる妙齢の女性に向け、空飛び地を這い襲い掛かる。
    雨宮 さざめ:もし。これは〝もし〟の話だ。
    雨宮 さざめ:降り注ぐ針の全てがもし、偶然にも──〝幸運にも〟地上を向いていたならば。
    緒環 伸:「見えるよ。いい眼鏡があるんでね」冗談めかした声。
    緒環 伸:例え小さな針の穴も、運命を司る糸のひと振りには敵わない。
    緒環 伸:それは、一瞬だけ全てをすり抜け、全てを覆す。
    雨宮 さざめ:──〝運が良かった〟。
    血吸い蟲:これらの良質な餌を喰らい尽くせば、我々はより強力な個体となるだろう。
    血吸い蟲:目先の餌に惹かれて、あるいは何かに引かれてか。守勢は疎かになっており──
    雨宮 さざめ:空へと投げ上げた針は、位置エネルギーを速度に変えて落下しながら、
    雨宮 さざめ:それは悉く、切っ先を蟲の巣へと向けて落ちていく。
    雨宮 さざめ:肉を食い千切る蟲。もはやそれに応じる手すら不要。傷を刻まれながら──猛毒と化した血を流しながら、
    雨宮 さざめ:落ちてきた針が、速度と重量を合わせ、先端をほんの少しだけ──巣に突き立てた。
    雨宮 さざめ:幅、1mm程度。それだけ刺されば十分だった。
    雨宮 さざめ:「……苦しみに、大の男さえ眠れずに泣き喚く」
    雨宮 さざめ:「故に称して〝秘伝:夜泣き蟲〟」
    雨宮 さざめ:「雨宮の家が知る、最良の毒にございます」
    血吸い蟲の巣:それは無数の人々から生き血と力を啜った。
    血吸い蟲の巣:なれば当然、研ぎ澄まされた液も力もよく身に馴染む。
    血吸い蟲の巣:無論、毒が通れば命は絶える。
    血吸い蟲の巣:「────!?!?」
    GM:命を喰らって生まれようとした怪物は、初めて泣いてそのまま死んだ。
    GM:──あなた達の勝利だ。

    GM:《ワンナイトフィーバー》による減少によって確定帰還。故に省略します。
    GM:経験点は5点で固定。GMは3点いただきます。
    GM:帰還おめでとうございます。お疲れ様でした。
    緒環 伸:ありがとうございます!
    雨宮 さざめ:いただきます!

    GM:あなたたちの勝利により、区画を覆う蟲害は一掃された。
    GM:(毒が通っていてちょっと大変だったけど)ジャームの調査により治療手段も十全に確保。
    GM:全ての被害者に問題なくケアが行き届いた。つまり全ては元通り。
    GM:日常の楯の勝利で終わったのだ。
    雨宮 さざめ:「まったく、とんだ経験でございました……」元の通りの姿となって胸を撫で下ろす。直立するのが楽だと実感している。
    緒環 伸:「まあ、戻ってみるとやっぱり愛着はあるね。こっち」
    緒環 伸:いつも通りのつるりとした顔を触る。
    雨宮 さざめ:「ええ。傍目にも、そちらの顔の方が見慣れておりますし」
    緒環 伸:疲労感もないし、視界も良好だ。
    雨宮 さざめ:「おひげ、悪いとはもうしませんけれど」
    緒環 伸:「髭ねえ。僕、あんまり生えないからあれはちょっと惜しいことをしたな」
    緒環 伸:おかげで年齢を誤魔化すのが一苦労なのだ。
    緒環 伸:「雨宮さんも調子よさそうで何より」
    雨宮 さざめ:「付け髭という手立てもあるやも知れません。案外に似合うやも──」
    雨宮 さざめ:「──ええ。万事、元の通り。再び老いるのが恐ろしくなる程にございます」
    緒環 伸:「クリスマスにサンタの仮装したら笑われたんだよな……」
    緒環 伸:でも、あれはいずれ来ることなんだよ、とは言わずにおく。
    緒環 伸:それがうらやましいなどというのは、やはり気の迷いだろう。
    雨宮 さざめ:「……緒環さん」
    緒環 伸:「ん?」
    雨宮 さざめ:静かに名を呼び、向き直る。
    雨宮 さざめ:顔だけではなく、体ごと正面に捉えて、
    雨宮 さざめ:「あなたの血を、分けてくださいませんか?」
    雨宮 さざめ:酷く真面目な顔をして言った。
    緒環 伸:「あ?」
    緒環 伸:ぽかんと口を開ける。
    緒環 伸:まるで予測もしていなかった言葉なので。
    雨宮 さざめ:「私、勉強しました。〝えんしぇんとれねげいど〟と言うのでしょう」
    緒環 伸:「ん、ああ。僕の中のやつね」
    雨宮 さざめ:「老いず、衰えぬひと達。他のおーばーどとは、〝れねげいどういるす〟の型が違うと」
    雨宮 さざめ:「……私は、その〝違う型のういるす〟をいただきたいのです」
    緒環 伸:「……そんなに、今回の件がしんどかった……?」
    緒環 伸:確かに、一度強く抗議をされたが。
    雨宮 さざめ:「いいえ」
    雨宮 さざめ:「……いえ。それもあるのですが、一つには──」
    雨宮 さざめ:「友であれなかったひとの為、と申しましょうか」
    緒環 伸:「…………」
    雨宮 さざめ:「先日、不死者と呼ばれるひとと知り合ったのです」
    雨宮 さざめ:「強いひとでした。……ですが、私の前からいなくなってしまいました」
    雨宮 さざめ:「私は、彼女の友であるには力が足りなかったのです」
    雨宮 さざめ:「……ひとの生はあまりに短い。そして、強くあれる時は更に短い」
    雨宮 さざめ:「私は彼女に追いつかなければいけないのですよ」
    緒環 伸:「……それで、血か」
    緒環 伸:「聞かないのを承知で言うけどね」
    緒環 伸:「やめときな。見てたろ」
    緒環 伸:「君があれだけ嫌がった老いを、逆に望むようになるような」
    緒環 伸:「そういう人生が待ってるんだぜ」
    雨宮 さざめ:「このままに長らえて、順当に老いて、どうなりましょうか」
    雨宮 さざめ:「我が身に宿した技は、老いと共に失われ。個ではなく、母となり、老人となるばかり」
    雨宮 さざめ:「……悔いもついぞ晴れぬまま、やがて死ぬばかり」
    緒環 伸:「……君は、母親になりたいのかと思ってたけど」
    雨宮 さざめ:「いいえ」
    雨宮 さざめ:「母に、ならねばいけないのです」
    雨宮 さざめ:「私はやがて老いて死ぬから、子に全てを残さねばならない──」
    緒環 伸:「希望ではない、か」
    雨宮 さざめ:「──子を為せば、それはそれでかわいいものでしょうけれど」
    雨宮 さざめ:「母として過ごす二十年は、私から武を奪い去るでしょう」
    緒環 伸:「ああ」
    緒環 伸:「君は、僕とはきっと、正反対なんだな」
    雨宮 さざめ:「……かも、知れません」
    緒環 伸:「僕は……ずっと『お父さん』になりたかったんだよ」
    緒環 伸:はあ、と息を吐く。
    雨宮 さざめ:「あなたはきっと、多くの人と共に在りたいと願うひとなのでしょうね」
    緒環 伸:「今はね」
    雨宮 さざめ:「……妻が居て、子がいて。両親がいて。そういう家に焦がれるような」
    緒環 伸:「時が来たら、きっとそうでもなくなる」
    雨宮 さざめ:「その〝時〟とは」
    雨宮 さざめ:「……年月があなたを磨り減らした時でしょうか」
    緒環 伸:「磨り減らすのか、磨きをかけるのか、どっちかは知らないけど」
    緒環 伸:「いつか僕も変わると、そう信じてる」
    緒環 伸:ふと、目に真剣さが宿る。
    緒環 伸:「僕をそうさせた人がいる」
    緒環 伸:「だから、君の話を簡単に断ることもできない」
    雨宮 さざめ:「……アデレードを、待たせているのです」
    雨宮 さざめ:その名ばかりは、慣れぬ国の音なれど、さらりと告げられた。
    緒環 伸:「その手の人は気長だけど、待たせる方は気を揉むよな」
    緒環 伸:「ただねえ、僕の血をあげたから即古代種に覚醒できる、とは保証できないよ、全然」
    雨宮 さざめ:「……無論のこと。けれど、手がかりになるならば、それで良い」
    雨宮 さざめ:「彼女が、待つと言ったのです。なら」
    雨宮 さざめ:「私は、追わねばならない──だから、お願いします」
    緒環 伸:「…………」手を伸ばす。雨宮さんの頭の辺りに。
    緒環 伸:「うん、さっきはもう少しだけ背があった気がするな」
    雨宮 さざめ:「ええ。ほんの少しだけ」
    緒環 伸:「まだ成長期だ」
    緒環 伸:「君にこれから来るのは、老いじゃない、人生の盛りだろ」
    緒環 伸:「まだほんの少し早い、と僕は思う」
    雨宮 さざめ:「…………」
    緒環 伸:「そうだな、成人した頃に、まだその熱を持ってたら……そしたらもう一度来なさい」
    緒環 伸:「で、僕がまだここにこうして居たら、その時はもう一度話を聞こうか」
    雨宮 さざめ:「……忘れません。そして、逃がしません」
    緒環 伸:「わかってるよ」
    雨宮 さざめ:「口約束とは言え、約定は約定──確かに頂いたと、記憶します」
    緒環 伸:「わかってる」
    緒環 伸:ポケットの中に入れた、汚れた五円玉を探る。
    緒環 伸:「……ああいう人に魅せられた人間ってのは、だいたい一途で頑固で、どうしようもない」
    緒環 伸:「僕とおんなじだ」
    緒環 伸:くくく、と軽く笑いながら。
    緒環 伸:「やれやれ、包み隠すつもりがずいぶん話しちゃったな」
    緒環 伸:「ま、でも、大したことなかったろ? 中身は」軽く腕を広げる。
    雨宮 さざめ:「一筋縄ではいかぬ中身、とは見えました」
    緒環 伸:「縄じゃなくて糸なんだけどね」ニヤリと笑う。
    雨宮 さざめ:「言うと思った」と、頬を膨らませて拗ねたように言いながら
    雨宮 さざめ:足袋履きの足の爪先蹴り。脛を狙って、こつん、と。
    緒環 伸:「ま、縄なら老眼でもよほど見えやすいってやつですよ」
    緒環 伸:いたた、とわざとらしく反応をして、いつもの顔に戻った。
    雨宮 さざめ:「ほーら」
    雨宮 さざめ:「やっぱり、いじわるです」